
本稿は、記述・評価・主体・非収束といった概念がそれぞれ独立に扱われてきた理論的分断を出発点とする。従来の多くの枠組みにおいて、記述は意味論、評価は規範理論、主体は行為論、非収束は動力学として個別に定式化されており、これらを統一的に扱う基礎構造は与えられていない。この分断は、各概念が互いに依存しながらも共通の生成原理を欠いていることに起因する。 本稿の問いは、このような異なる領域に属する構造が、単一の原理から同時に導出可能であるか、すなわちそれらの成立を支える最小条件が存在するかという点にある。ここで問題となるのは、各概念を個別に定義することではなく、それらを同時に成立させる基礎構造を特定することである。 本稿の主張は、対象間の生成不可能性を与える非存在構造 N ⊂ Obj × Obj を唯一の原始とすることで、記述・評価・主体・非収束を含むすべての構造が一意的に導出されるというものである。このとき、これらの概念は独立の原理に基づくものではなく、非存在構造に内在する制約の異なる現れとして理解される。さらに、この非存在構造は、生成可能性や関係を前提とすることなく、それらを同時に制約として導出できる唯一の最小構造である。
